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差し押さえ数の増加は、サププライムローンだけではなく、変動金利ローンによって発生したものだ。
これは、アラン・グリーンスパン連邦準備制度理事会前議長が人々に薦めたものだ。
この変動金利はサププライムローンにも、プライムローンにも組み込まれている。
変動金利ローンは、最初の数年間は金利は低く設定され、固定されている。
これによって、多くの人々が得だと思って変動金利ローンを選ぶ。
だが最初の数年間が過ぎると、経済状況によって金利が変動するしくみになっている。
そのときの経済状況で、金利は上昇するかもしれないし、低下するかもしれない。
金利の変動が激しい経済状況下では、変動金利ローンは望ましい商品である。
なぜなら、借り手も貸し手も経済の先行きがどうなるか分からないから貸し手は、変動の激しい経済状況下では変動金利ローンを借り手に薦め、リスクを借り手されていたのだ。
プライムローンに占める変動金利ローンの割合の方が、サププライムローンに比べて多かつ影響を与えた」というのは事実ではないことが分かった。
二○○六年から二○○七年にかけて、プライムローンにおける差し押さえ件数の方が、サブプライムローンの差し押さえ件数に比べ、増加していた。
もちろん絶対数でいえば、サブプライムローンの差し押さえ数の方が多い。
それは当たり前のことで、そうした危険があるからこそ、サププライムローンの金利は高く設定たことが分かっている。
サププライムローンが問題の元凶だと言われているが、実際はそうではない。
プライムローンの返済不履行による差し押さえ数は増加していた。
だから「住宅ローン危機は、ずる賢い銀行が、契約内容を理解できない、かわいそうな人々を騙して貸し付けたのが原因だ」という神話が事実に基づかないことが明らかになる。
もし銀行が人々を騙したというのなら、契約内容をきちんと理解できる知識を持つはずのプライムローンの借り手たちが、サププライムローンの借り手たちよりも騙されやすかった、そういうことになる。
そんなことがあるだろうか?データからは差し押さえ数が増加していることが分かる。
その理由としては住宅を投機。
目的で購入した人々の差し押さえが増加していることが挙げられる。
彼らは、住宅価格が上昇を続ける方に賭けて、そして負けてしまったのだ。
彼らは住宅を「短期で転売」する人々であった。
住宅を複数購入し、リフォームなどを施し、購入時よりも高い値段で売却していた。
住宅を購入し、しばらくそのまま保有し、その間に住宅価格が上昇するのを待って転売し、利益を得る人々もいた。
ここ数年間の住宅購入数の約四分の一が投機目的であったと推定されている。
こうした投機的な住宅売買を行なう人々にとって、変動金利ローンは魅力的だった。
なぜなら、その前の低い固定金利の期間中に、彼らは家を売却して利益を得ていたからだ。
住宅価格の下落は当初、小さなものだった。
ニ○○六年末からの半年間で、一・四%下落しただけだった。
それでも差し押さえ件数は急増した。
同時期の差し押さえ件数は四三%の上昇となっている。
差し押さえ件数だけが突出して、しかも突然増加したのは、投機的な住宅購入をしていた人々が増加していたからだ。
彼らは頭金なしの変動金利ローンを借りて住宅を購入し、買った時点よりも高い値段で売却していた。
だが住宅価格が下落局面に転じると、利益が出ないということが分かり、投機を行なっていた人々は夜逃げするようになった。
頭金を支払っていなかったので、住宅を見切り、夜逃げしやすかったのだ。
この住宅価格の急落によって、もう一人の犯人があぶり出された。
それは、住宅ローンの信用度を判定する民間格付け会社である。
格付け会社はどうして変動金利住宅ローンの危険性を判定できなかったのか?連邦準備制度の低金利政策によって、住宅価格は上昇を続けた。
そのため変動金利ローンはきちんと返済され、焦げ付きは少なかった。
格付け会社は表面的な数字だけを見て、住宅ローンの信用度を高く判定した。
また、次の説明も成り立つ。
すべての金融機関は政府の意向に従って経営をしていた。
住宅とは直接関係ない政府機関も住宅ローン保有率を上昇させようと、貸付基準の緩和を推進していた。
経済学者のアート・カーデンは次のように書いている。
「SEC証券取引委員会の規制は、格付け会社にとって、危機を警告してくれるものであった。
それでも格付け会社は、政治的に人気のある政策に反対しないし、政府から晩まれないように行動した」認可を受けたいくつかの格付け会社は、証券取引委員会主導のカルテルを結成し、規制によって競争からも守られていた。
R教授は次のように書いている。
「政府から認可を受けていた格付け会社は、自由競争から守られていた。
だから格付け会社は住宅ローンに低い格付けをし、自分たちの既得権益を危険に晒すことで政治的な乳諜を生み出すのを恐れていた、という主張はおかしいことになる」格付け会社のカルテルにこそ、今回の経済危機の責任がある。
同時に、これから見ていくように、連邦準備制度が経済に介入したことも経済危機を引き起こした。
連邦準備制度の介入によって、経済の実態を示すはずの指標はめちゃくちやにされ、格付け会社を含め、経済の実態をつかむことが困難になったのだ。
連邦準備制度については後述する。
連邦政府、州政府、地方自治体はそれぞれ、いろいろの階層の人々の住宅取得を促進するプログラムを創設した。
こうしたプログラムは、政府の思惑通りに、住宅部門により多くの金が流れる結果となった。
住宅開発業者たちは、補助金、無料の土地、住宅建設に対しての優遇税制を享受していた。
税制が優遇政策の最も顕著な例であった。
連邦政府は、もちろん例外はあるが、平均的な労働者の収入の三五%を税金として徴収している。
この数字には、年金と医療保険が入っている。
個人退職年金勘定や401K(確定拠出型年金制度)を通じて株式市場へ投資することで、税金の控除を受けることができる。
民間の健康保険に雇用主を通じて加入すると、その保険料は税金の控除の対象となる。
アメリカの家庭にとって最大の控除は、住宅ローンの金利である。
住宅を借りている人やローンを借りずに住宅を購入した人たちは、住宅にかかるコストを税金控除の対象にすることはできない。
連邦政府は、人々に住宅を借りるよりも買うように、かつできるだけ住宅ローンを借りて買うよう誘因を与えている。
連邦政府の制度と似たような制度を州政府や地方自治体も作っている。
例えば、ワシントン市内に初めて家を購入した人は、五○○○ドル(約五○万円)の税金控除を受けられる。
住宅を投資の対象として購入するとさらに控除を受けることができる。
また、株式やビジネスに五○万ドル(約五○○○万円)を投資し、一○年後に一○○万ドル(約一億円)で売却した場合、キャピタルゲイン課税が課される。
その税率は二○○八年で一五%である。
だが一九九七年に成立した法律では、この資金で五○万ドルの住宅を購入し、それを一○○万ドルで売却した場ここまで見てきたが、今まで取り上げてきた要因だけで、住宅バブルとその崩壊の深刻さを説明することはできない。
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